インジウム(In)ターゲットは重要なスパッタリング材料であり、主に高純度金属インジウム(In)から作られ、その独特な物理と化学的性質のため、半導体、表示パネル、太陽電池などの分野に広く応用されている。
1.特性
1)優れた導電性と光透過性
・In(インジウム)の抵抗率は低く(〜8.37×10タンタルΩ・m)、ITOターゲットなどの透明導電性薄膜の作製に適している。
・ITO(酸化インジウムスズ)薄膜の可視光透過率>95%、紫外線吸収率≧70%は、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチスクリーンに広く応用されている。
2)低融点と高沸点
・In(インジウム)の融点は156.61°Cであり、沸点は2080°Cに達し、低温コーテイングプロセスに適し、同時に高温環境下で安定性を維持することができる。
3)良好な延性と可塑性
・In(インジウム)は鉛よりも柔らかく、精密膜や真空封止材料に適した極めて薄い金属片(In箔など)に圧着することができる。
4)化学安定性と耐食性
・常温では酸化しにくいが、高温では酸化膜が形成され、耐食性コーティングに使用。
・In層は海水浸食に抵抗でき、船舶反射鏡と真空設備によく用いられる。
5)高純度と均一性
・工業用Inターゲットの純度は通常≧99.995%(4N5)、部分的には99.9999%(6 N)に達することができ、薄膜堆積の高品質を確保する。
2.主な用途
1)ITOターゲット(液晶ディスプレイ、タッチパネル)
・世界のインジウムの70%はITOターゲットの生産に使用されており、LCD、OLED、プラズマテレビなどの透明導電電極の製造に使用。
・タッチスクリーン、省エネガラス、自動車用ディスプレイなどにも使用。
2)半導体とマイクロエレクトロニクス業界
・PNPゲルマニウムトランジスタ、アンチモン化Inなどの赤外線検出器、光電デバイスなどを製造するために使用。
・集積回路で導電層またはハンダとして使用される
3)太陽電池(CIGS薄膜電池)
・CIGS薄膜太陽電池は、高い光電変換効率(結晶シリコン電池に近い)を有し、低コストである。
4)航空宇宙と原子力産業
・中性子検出器、原子炉制御棒(In合金)を製造するために使用。
・航空宇宙装置としての高真空シール材。
5)工業用コーティングと装飾用コーティング
・軸受Inコーテイングは寿命を5倍以上に延長することが可能。
・鏡面反射コーティング、ジュエリー装飾などに使用。