酸化テルル(TeO)ターゲット

酸化テルル(TeO)ターゲット
酸化テルル(TeO)ターゲット

1.特性

 1)化学組成と構造 

 ・主成分はTeO(酸化テルル)であり、TeO₂(二酸化テルル)または非化学量論的化合物を含む場合がある。 

 ・結晶構造は通常アモルファスまたは低結晶性で、均質な薄膜の作製に適している。 

 2)光学特性 

・屈折率が高く(n≈2.0-2.5)、高屈折率光学コーティングに適している。 

・広い光透過範囲(可視~中赤外域)、赤外光学デバイスに使用可能。 

・感光性:紫外線照射により構造変化を起こすことがあり、フォトレジストや光貯蔵材料に適している。 

 3)電気的特性 

・導体的性質(禁制帯幅~3.5eV)、透明半導体膜に使用可能。 

・抵抗は調整可能

導電性はSb、Biなどの添加により最適化できる。 

 4)熱安定性 

・低融点(TeO₂融点~733℃)、低温蒸着プロセス(例:熱蒸着、スパッタリング)に適している。 

 5)機械的および化学的安定性 

・脆いため、強度を向上させるためにターゲット焼結プロセスを最適化する必要がある。 

・室温では化学的に安定だが、強酸や強塩基には溶けやすい。 

 

2.主な用途

 1)光学コーティング 

・高屈折率コーティング:カメラレンズ、レーザーミラー、光ファイバー通信機器に使用。 

・赤外線窓材:赤外線検出器、赤外線カメラ光学部品の製造。 

 2)オプトエレクトロニクスデバイス 

・光導波路:高屈折率を利用して集積光デバイスを作る。 

・光記録媒体:TeOの感光性を利用して、書き換え可能な光ディスク(DVD-RWなど)

 3)半導体とセンサー 

・透明導電膜(TCO):フレキシブルディスプレイや太陽電池の電極用。 

・ガスセンサー:NOx、H₂Sなどのガスに感応し、環境モニタリングを行う。 

 4)機能性ガラスとスマート材料 

・カルコゲナイドガラス:赤外線レンズ、光スイッチに使用される。 

・相変化メモリ(PCM):GeSbTe(GST)材料と組み合わせ、高速ストレージデバイスに使用。 

 5)触媒作用と新エネルギー 

・光触媒作用:紫外線による有機汚染物質の分解。 

・熱電材料:廃熱生成に最適化された材料。