ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO₃)ターゲット <略称SRO>

SrRuO₃ターゲット
SrRuO₃ターゲット

導電性酸化物材料であり、その独特な物理的及び化学的性質から、多くの分野(特に薄膜製造及び電子デバイス)でターゲットとして

広く応用されている。

 

1.特性

 1)導電性と金属性

・室温では金属導電性を示し、電気抵抗率は低く(約200〜300μΩ・cm)、電極材料として適している。

・導電性は添加や歪みによって制御でき、酸化物電子デバイスのニーズに対応する。

 2)化学的安定性

・高温及び酸化環境において安定性に優れ、強誘電体、誘電体材料などの一般的な酸化物材料と反応しにくい。

・バッファ層として、基板と機能層との間の拡散を防止することができる。

 3)構造互換性

・ペロブスカイト構造はPZT、BTOなどの多くの機能材料と格子整合し、高品質の薄膜をエピタキシャル成長させることができる。

・遷移層として後続薄膜の結晶品質を改善することができる。

 4)磁気

・強磁性を有する(Curie温度約160 K)

 5)熱安定性

・高温下(>600°C)でも構造が安定しており、高温蒸着プロセス(パルスレーザー蒸着:PLD、マグネトロンスパッタリングなど)に適してい 

 る。

 

2.主な用途

 1)電極材料

・強誘電デバイス

 PZTなどの材料との界面互換性のため、強誘電メモリ(FeRAM)、圧電デバイスの底部電極に使用される。

・キャパシタ

 高誘電率薄膜キャパシタにおいて導電層とする。

 2)多機能フィルムのバッファ層/遷移層

・超伝導薄膜、マルチフェロイック材料などの複雑な酸化物ヘテロ接合における格子不整合と界面欠陥の低減。

 3)スピントロニクス素子

・その強磁性を利用して、磁気トンネル接合(MTJ)またはスピンバルブ素子の構成部分に使用される。

 4)触媒とセンサー

・触媒としての担体または活性成分(例えば、電解水酸素析出反応)、または高温ガスセンサ材料。